だいふくの浜松びより（仮）14

ジュワー。蓋を開けた瞬間、蒸気と香ばしい匂いがキッチンに広がる。円形に並べられた餃子。この時点で大成功を確信した。

「浜松餃子」。以前にも一度書いたが、浜松餃子のお店は市内に300店舗以上あるとも言われており、2020年には世帯辺りの餃子購入額で日本一位に輝いている。浜松市内には店内で食べられるお店だけに加え、無人の冷凍餃子のお店もちらほら見かける。

浜松に移住してきた頃、家で冷凍の餃子を焼いた事が二度ほどあった。一度目は上手く焼けたものの、二回目はめちゃくちゃ焦がした。我が家はIHで、中心の温度がより高くなるのだが、そのことを意識せずに中心に置いてしまい真っ黒に焦がした。俺の腹の中よりも明らかに真っ黒だった。

それがなんとなくのトラウマとなり、外で食べたり、相方の家で餃子を食べさせて頂く機会はあっても、自宅で焼くことは無くなった。

東京から浜松に移住してきて二年。生活のための自炊が、もはや趣味に。ある日、いつものようにYouTubeで色んな料理の動画を見ていた時にふと思った。

「IHで冷凍餃子焼く方法調べたら出てくるのかな…」

試しに「IH 冷凍餃子」でリサーチ。情報続出!!　普通にレシピ系のサイトでも出てきた。盲点だったというか灯台下暗しというか。簡単に出来そーじゃん。事前の対策をせずに毎回失敗を繰り返す。この性格は一生変わらないのだろう。…嗚呼無念。

そうなればやることは一つ。

以前、色々と相方に教えてもらった美味しい冷凍餃子店から「かめ」さんを選ぶ。お店で20個入りを購入し、帰宅。白米を炊き、夜ご飯に備える。

▲「餃子の店かめ」さんの看板。カラダが餃子!?　カメのイラスト、かわいい

決戦の時間、到来。冷凍餃子を取り出し、YouTube上の先生の指示通り、水に小麦粉と油を溶く。油を敷き餃子を並べ、動画を止めたり戻したりしながら焼いていく。小麦粉入りの水をかけ回し、蓋を閉める。

しばし待機。キッチンタイマーが鳴る時間までじっくりと。ピピピと鳴り、蓋を開ける。少しだけ開いた状態でもう一度蓋を閉める。一つ一つの工程に緊張感。

再度設定したキッチンタイマーが鳴る。蓋を開ける。そこからは最初に話した通り。完全に大成功だった。自分の中では。自分の世界線では大成功だ。

食卓に並べ、ご飯を準備。他の副菜も用意して、あっという間に餃子定食の完成。食べたいという気持ちを押し殺しSNS用の写真を撮る。よだれが止まらない。

▲上手く焼けた「浜松餃子」羽もつけられて、大成功すぎる!!

「いただきます。」野菜から食べたほうがいいとか、ゆっくり噛んで食べたほうがいいとかそういう食に関する健康的なアドバイスはフル無視。一心不乱に餃子と米を食す。三日ぶりの食事と思われてもおかしくないぐらいのスピードで平らげた。

浜松餃子は野菜の甘みがしっかりと感じられるものが多い気がする。キャベツのシャキシャキとした食感も感じられ、あっさりと食べられるイメージ。

「かめ」さんの餃子は豚肉の旨味に加え、にんにくが効いていてすごく美味しい。また、自家製のタレも美味しいのだが、付属のとうがらしを入れるとより美味しい。辛さが刺激となりまた一口、また一口と餃子とご飯の往復が止まらない。ここにもご飯泥棒、いやご飯大泥棒がいた。

▲大福流「浜松餃子定食」。ご飯の量を気にせず食べられるが自炊の魅力

移住して二年。自宅で浜松餃子が焼けた。うまく焼けた。

また一つ、浜松市民に近づけた気がした。ジグソーパズルならまだまだ穴だらけだろうけど、ピースは一枚埋められたと思う。次はどこのお店の冷凍餃子を焼こうかな。今からワクワクするー。

うーん。

勢いで、「ご飯泥棒」って言ったけど、改めて考えるとちょっと意味わかんないか。

うーん、まあわかんなくてもいいか。

美味。ごちそうさまでした!!

（文・写真／やらまいかカンパニー大福）

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