第４回
今日のことは今日決める
【サウナの梅湯】京都市下京区
クリスマスイブの日、僕はひたすら電車に揺られていた。前日にあった事務所ライブを終えた僕は今年、東京にいないといけない理由がすべて無くなったので、すぐに帰ろうと思った。
帰る手段としてはいつも夜行バスを使っているのだが、年末になると最安でも7000円を超える。お金がない僕は1日2410円でどこまでも行ける「青春18きっぷ」を選んだ。
僕の地元は兵庫県西宮市。東京からだと、神奈川、静岡、愛知、岐阜、滋賀、京都、大阪を鈍行列車で移動する計8時間の旅になる。そんなきつい旅の中でも少しの楽しみが欲しい。僕は途中の京都でサウナに入ることを楽しみに朝5時、家を出た。
まずは渋谷から品川まで行って、そこから東海道線に乗る。その予定だったのだが、渋谷駅の発車が10分も遅れて、品川から一気に小田原まで行ける電車を逃した。
その後は乗り換えを何度か挟みながら、静岡を刻み超えした。（いつも鈍行列車に乗ると静岡の大きさに驚く。浜松とかめちゃくちゃ遠いやんって思うと、やらまいかカンパニーさん（タイタン所属の浜松在住芸人）と会いたいなとも思う。）
そして、愛知県豊橋市に着くと、豊橋〜大垣区間が雪のため、30分以上遅れていた。もう、この時点で僕は心が折れた。昨日、予定を立てていた時刻スケジュールのメモをすべて消した。
ようやく、京都駅に着いたのは17時。予定していた時刻より2時間もかかった。どうしてうまくいかないんだと泣きそうになりながら、クリスマスカラーに光っている京都タワーを無視して、大股で歩いた。少し歩いて、振り帰って京都駅を見る。京都駅の外観どうにかならんのか。京都やねんから、もっと和を出した作りにせなとつっこんだ。
▲ライトアップがクリスマス仕様の京都タワー
京都駅から徒歩で約10分。渋谷から鈍行列車で約11時間。ようやく着いた。
「サウナの梅湯」。
真っ暗な高瀬川沿いにネオンライトが煌々と光っていて、京都らしい建物がそこにある。もう、清水寺とか伏見稲荷神社なんて行かなくていい。ここに行けば京都のすべてを感じ取ることができる。
▲「サウナの梅湯」京都府京都市下京区岩滝町175
https://twitter.com/umeyu_rakuen
価格はサウナ込みで490円。京都の銭湯はサウナ料金はかからないのだ。体を洗って、まずお風呂に入った。めちゃくちゃ気持ちいい。京都の銭湯は熱いし、深いので体を芯から温めれる。結構、長めに入った。その間、壁に貼ってある銭湯スタッフが作った新聞を読んだ。小学校のときに作ったような手作り新聞みたいで、スタッフの好きなものや思ったことを手書きで書いてあるのが面白かった。11月号が特に面白かった。
ようやく、サウナ室に入った。サウナ室はドライサウナで100度と表示されていたが程よい熱さで気持ちよく汗をかけた。お風呂に長く入っていたので、汗の発汗がよかったのかすごい汗が出てきたので、サウナ室を出た。
水風呂はサウナ室の真横にある。滝のように水が出ていて、音がすごい。水は常に溢れている。入ってみると深い。そして、冷たい。ただ、冷たいのではなく、水質が柔らかく、かなり良い。深いし、気持ちいいので、身体中が包み込まれてるみたいだった。
京都の地下水はめちゃくちゃ良いらしい。京都にはサウナの梅湯以外にも白山湯や五香湯など、銭湯サウナが有名なところが多い。だからだと思うけど、京都はサウナ特化施設みたいなのはほとんどない。それだけ、銭湯が素晴らしく、利用者が多いってことだろう。
水風呂を上がって、休憩をする。別に最近よくあるインフィニティチェアなどのととのい椅子はない。洗体イスを持ってきて、そこに座り、だらっーとする。この瞬間、僕は京都の日常に入った。とても心地よかった。今日1日、予定通りにまったく行かなかったけれど、そんなのもうどうでもいいと思った。
来年から、僕は今日やることは今日決めるようにしようと思った。でたらめな生活になるかもしれない。でも、楽しみだ。
（文・写真／モサク）
