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2018.06.14「タイタンの学校」太田光代理事長×菅賢治特別講師 対談

太田光代理事長×菅賢治特別講師 対談
学校を設立した経緯を教えてください。

太田私がお笑いを始めたときは、学校もなくて、師匠につかない若手の芸人がいきなりプロダクションに入るという時代でした。でも、その時代は短くて。その後、学校からお笑いの世界へ入っていくというのが標準的になっていった…。
この学校に入るのが一つのルートとして確立してきたときに、タイタンにも「学校をやらないか?」と、何回か誘われたことがあったんです。

以前にも学校設立の話があったと…。

太田でも、私もいろいろ考えてしまって。お笑いって発声や演技とか普遍的に教えられる内容もありますが、本質的にはカテゴリによって全然違うと思うんです。それを授業として教えるということにあまりイメージが湧かなかったんです。
また、やる以上は自分が本当に納得したものをやりたい。そんな思いから、学校をつくるのはちょっと違うな、と。

今回の「タイタンの学校」について。

太田タイタンが普通のお笑いの学校をつくるという企画だったら今回も違うと思うんです。もちろんお笑いの人材をタイタンが求めているのは前提にありますが、それだけでいいのかな、と。お笑いの世界は「学校に通った人全員がデビューできるわけではない」という厳しい世界です。だからこそ学校に来た人が教わったことをその後の人生で生かしていくことができるものになれば、本来の『学校』という言葉の意味に近いものがつくれるんじゃないかと思ったんです。お笑いだけでなく、どんな職業に就いたとしても、この学校で学んだことを生かせるような、そんな場所ならタイタンで学校をつくる意味があると思っています。

そう思われたきっかけは?

太田たまたま菅さんが日テレを退社され、個別で仕事のいろいろな相談をさせてもらうようになったタイミングでした。
菅さんって先生みたいなイメージがあったんです。そこで菅さんとなら私がイメージしている学校をつくれるのではないかと思い、菅さんに相談したら賛同してくださった。これが大きなきっかけですね。

菅さんは相談を持ち掛けられたとき、どんなことをお考えになりましたか?

光代さんらしいなと思いました(笑)。お 笑いだけの学校だったら、一緒にやりましょうとは言っていないと思います。

なにか共感できる部分があったと…。

はい。僕は日テレ時代、お笑い一筋で番組制作をやらせてもらった一方で、入社試験の面接官を務める機会も多かった。その時に若い世代に感じたのは「社会に出るための準備というか、コミュニケーション力が足りないんだ」と思ったんです。僕も大学を卒業しても、もっと勉強しておけばよかったと思うことがたくさんあるんです。社会に出るための社会的知能というか。

社会的知能ですか。

学生時代は受験用の暗記の勉強を中心にやってきてるんですよね。なので、暗記法ではない社会的知能指数を上昇させてあげたい。
その中でお笑いの人が出てきてもいいし、その他の道を目指す人が出てきてもいい。社会で役立つ手助けができたらいなと思っていたので、光代さんのおっしゃることはすごく理解できたし、一緒にやりたいと思いました。

学校ではどんなことを教えていきたいでしょうか。

太田私の修学旅行では薬師寺のお坊さんの説法が面白いと有名で、実際に聞いてみたら確かにすごく面白かったんです。お坊さんがそこまで面白い必要はないし、求められてもないじゃないですか(笑)。

はははは。確かに(笑)。

太田でも、面白いから話が入ってくるんですよ。だから、薬師寺だけはやけにいろんなことを覚えているんです。どちらかと言うと薬師寺というよりは説法していたお坊さんの印象が強い(笑)。

もうお坊さんの記憶なんですね(笑)。

太田そう。おそらく厳しい修行の中であの説法も習得されたと思うんですけど。
複数校の生徒を一緒に説法を聞かせるって、スゴイことだと思うんですよ。

確かにスゴイ。

太田説法なんて聞きたくない若い学生たちを前に、じっくり聞かせて。しかも、それが面白いって有名になるなんてすごいこと。それと同じというわけではないんですけど、タイタンの学校の講師陣も各ジャンルで経験や実績を積んでいて、それを話せる方々です。そういう先生方の話を聞くだけでも何か得られるものがあるのではないかと。

一緒に話していて思うのは、詰め込み型の学校にしたくないということ。例えば、この業界にいて芸能史を知らないのはダメだと思うんです、商売道具ですから。でも、19××年に何が起きたというような教え方は違うかな、と。できれば我々の体験談を教えてあげたい。芸能界で生きてきたいろいろな人の体験談を通じて、その中でどんな出会いがあり、どう関わってきたか。その生きた経験を通して芸能史が見えてくると楽しくなりますよね。光代さんがおっしゃったとおり、面白くないとダメ。やっぱり暗記することではない。面白くないと。

今回、タイタンの学校では一般コースも用意されています。

太田今の人たちは本当にいろいろ考えていると思うんです。昔よりもネットやSNSで発信もできるし、見識も広い。でも、ネットやSNSでは活発に発言するのに、実際に会ってみるとなかなか意見を主張できない子が本当に多くて…。

それはすごくわかりますね。僕もたまに講演などで若い子たちに接しますが、彼らは確かにいろんなことを考えているし、意見もあるのに、何をしたから良いかわからないと言われることが多い。

太田私もいろんな相談を受けます。優秀な人たちがあらゆることで悩んでいる印象です。でも、関係性が難しい時代になり、身近な上司に相談するのもちょっと難しいし、上司も部下に対して助言したり、誘ったりするのも難しい状況ですよね。だからこそ、こういう場所でいろんなことを学びつつ新しい人生のヒントを手に入れてほしいなって思います。

人生のヒントですね。

太田お笑いや芸能のコンテンツ力は今後、個人が生き抜く中でとても大事なポイントになると思います。なので、一般コースの方にも年齢や職業に関係なく、どんどんチャンレジしてほしい。そのチャレンジの場で出会った人々とさまざまな化学反応が起これば、面白いですし。自分の可能性を見出すきっかけになればいいなと思います。

学校ではどんなことを教えていきたいでしょうか。

とにかく自分を見つけに来てほしいですね。例えば、会議で何もアイデアを出さないけど、その人がいるだけで場がなごむ場合がある。その人の良さは、座持ちの良さなんですよ。僕のAD時代なんて食えないもんだから、人におごってもらう天才でした(笑)。つまり、人それぞれ良さや才能が何かしらあるはず。あまり能力能力と堅苦しいことを言わず、ご自身の個性を楽しく探してもらいたいですね。

太田私の学生時代の先生方はみんな「金八先生」みたいに熱かったんです。今の時代に熱さは合ってないかもしれませんが、あのような熱い関係性を築けたらいいかな。お笑いを目指す方もそうではない方も、いろんな方に〈出会い〉、そして自分の新しい可能性を〈見つけて〉ほしいと思います。